letus – app開発

letusは「カジュアルでインスタントな出会い」をテーマとした、新しい形のSNSアプリです。コンセプトがユーザーのニーズに合致するか、また、合致する形はどういったものかを検証することが課題でした。画面構成の設計からプロトタイピング、グループインタビューを行うユーザー調査までを行いました。(期間:2019.1 – 3)

アプリの概要はこちら

Adobe XDによるプロトタイプはこちら

プロトタイピング

まず、コンセプトをもとにしたラフ案から画面構成を考え、ワイヤーフレーム・初期プロトタイプに落とし込むことから開始しました。

テーマ:リアルタイムにイベントが行われていることを表現すること

マップ上にピンを立てることで、ユーザーの近くでリアルタイムにイベントが行われていることがわかるようにしました。また、そのピンにはプロフィール画像を用いることでよりリアルに感じられるようにしました。

1画面においてユーザーが許容できる情報量を超えないことを意識し、1画面ごとのテキスト量やコンテンツ量をできる限り増やさないようにしました。

ユーザー調査の実施

「新たな出会いをしたいと思っているのか」や「当サービスがあったら使いたいか」などに関して生の声を聞くべく、東京と名古屋にて合計49名の方に参加いただき、グループワークを行う形でエスノグラフィーを実施しました。

目的

1. 質的データの収集
  • 新たな出会いをしたいと思っているのか
  • アプリの現段階における所感はどういったものか
  • 現段階のアプリがその要求を満たすものであるか
  • そのほか仮説の発見や機会の探索

2. 広報の一環

実際に新たな出会いを体現してもらい楽しんでもらうことでコンセプトへ共感してもらった方にはリリース後のユーザーにな ってもらう。

詳細

手法観察、グループインタビュー、グループワーク
対象とするユーザーの行為新たな人と出会うこと
調査対象者新たな出会いを提供する当サービスに対して興味を持ってくれそうな20代男女。開発メンバーの知人を招集。
開発メンバー 参加者
営業3名、エンジニア1名、デザイナー1名
協力者数
計 49名 (男性:26名、女性:22名) (東京:24名、名古屋:25名)

内容

1.アイスブレイク

狙い:新たな出会いを体現してもらうこと、緊張を和らげること

マンダラートの要領で自身についてのキーワードを8つあげ、それに対しグループで気になったものについて紹介してもらうというワークを行いました。ゲーム感覚で自己紹介をしてもらうことで参加者の緊張を和らげることを狙いとして行いました。

2.アプリ体験

Adobe XDのプロトタイプを体験してもらいました。

3.good point & bad point ワーク

ポストイットに思ったことや良い点・悪い点について記入してもらい各々紙に貼り出してもらいました。そのポストイットを貼り出した紙を見せながらグループ内で共有を行います。

4.賛成派・反対派ワーク

狙い:立場をはっきりさせて討議してもらうことで当事者である意識を持ってアプリについて深く考えてもらい、様々な視点からの意見を得る。

<流れ>

  1. 議題についての賛否とその理由について用紙に記入
  2. 発表
  3. 賛成派と反対派に分かれてディスカッション

議題1:「新たな人と出会いたいと思いますか」
議題2:「letusが解決策になっていると思いますか」

まとめと課題

グループワークにおいて調査協力者の100%の人が新たに出会いたいと答えていましたが、このアプリがその解決策になっているかという質問対しては46%がNoと答えているので、この差をどう埋めていくかが課題として明確になりました。(出会っていない人たちにどのような形で出会いを提供し、満足してもらうか?)

100%の人が新たに出会いたいと答えた中、実際に出会っている人は10%程度でした。 (この10%の人はその出会いに満足している傾向。)

Meet upやFacebookなど様々なサービスがあるのに出会っていないというのが現状としてあり、複数選択式のアンケート項目における新たな出会いをしていない理由で一番多かったのは「めんどくさい」次いで「出会う方法を知らない」という結果となりました。

このことから新たに生活の一部として取り入れるの自体がめんどくさいのではないか、という仮説を立てました。(どんなアプリなのか、安全なのか、どんな人が使っているのか、総合的に見て良 いものなのか?などを知らなければいけないことがめんどくさい)

こうしためんどくささをも払拭させるような新たな体験価値を定め、ユーザーの方へ正しいコミュニケーションを行う必要性があると感じました。

所感として、「異性間の出会いを目的としたサービス感」が強いと体裁などの面からも使うことに抵抗があるようでした。それに対し、UIデザインが(異性間の)出会い系を彷彿させるものとなっており、ユーザー調査とデザインの間のギャップを埋めることが重要なポイントだと感じました。

課題

1. 安全性
 →人・イベントに対するレビューを明確にするなどの必要性がある。

2. イベントの目的を明確にすべき(何のために集まり、何についてを話すのか等)
 →特定の話題について話す会やボルダリングやヨガといった特定の目的のイベントのみにするなどのコンセプトの再考が必要。

3.イベントをたてやすくする、イベントを立てるインセンティブの必要性
 →人気のあるイベンターには何かしらのインセンティブの付与やアプリから過去に人がよく集ま ったイベントの内容でイベント企画を提案するなど策を講じる必要がある。

調査における改善点

  1. UXデザインプロセスについて学んでいなかった。
  2. 対象者の選定基準などはなく体系的な選出をしていなかった。
  3. 調査者がその時に肌で感じたことについてまとめていなかった。
  4. 観点の修正や感じたことの共有、分析などを各段階ごとで行わなかった。
  5. 「新しい人と出会いたいと思いますか?」という質問に対して100%の人が出会いたいと答えており、質問の仕方にバイアスがかかっていた可能性がある。

今後の流れとしては、調査の内容をもとにユーザーの行動パターンを導出し、何名か個人インタビュ ーを行ったのちペルソナを4通り(主役・脇役・端役・黒衣)作成しユーザーモデリングを試みる必要があります。